こんにちは、ペロンです。
フランスだけではなく、欧州の労働環境はすごく良いというイメージがありませんか?
なんだかこんな素敵な労働環境のイメージがありますよね!
「できるだけ仕事はしたくない」「できるだけ休みたい」、そう心から思うと、いかに長時間働かなくてすむかを考えます。
実のところ多くのフランス人は「いかに仮病を使って有休消化するか?」ということにも頭を使っているのが実情のようです。
有給を消化しきれない日本人に比べて、フランス人は余分な有給をとりすぎる(仮病が理由)というニュースが流れていたほどです。
真面目な顔で「仕事しすぎると病気になる」というフランス人。
たしかに、おっしゃるとおりなんですけどね。
(参考URL:フランス人が実践する、効率よく働いてたくさん休暇をとる方法)
一方、普段仕事をしているときの労働時間はというと、オフィスワークや管理職だと労働時間制限がない年棒制のことが多く、たくさん働く人が多いです。
プレゼンの準備など大切な会議があると、その準備のために、土日も自宅でパソコンと向き合うこともありますし、平日夜も8時、9時くらいまで働くこともありますが、基本的には、朝9時に始まり、夜18時には終わっていることが多いです。
1ヶ月の労働時間は、平均週43,2時間、1日8,6時間です。年棒制でない場合、法律で週35時間労働が定められているので、その法律に従うようになり、その時間を超えることはあまりありません。
(参考URL:フレクシブルなフランスの労働環境)
私も上記のように思っていたうちの一人。
フランスには、いわゆる日本に存在しているような「ブラック企業」が無いし、労働環境は完璧だと思っていました。
また、フランスの企業で働き始めた時は、「超ホワイトな環境で働ける~!!」なんて嬉しく思っていたものです…
しかもこんな夢のような労働環境なのに、GDPのランキングは世界で7位。
(参照URL:世界の名目GDP(USドル)ランキング)
経済規模もあり、超ホワイトな労働環境があるフランス…素晴らしいですよね!
しかし、そのようなイメージは本当なのでしょうか?
確かに一部は合っていると思います。
バカンスは長いし、私は実際残業もあまりすることがありません。
しかし、100%この考えが合っているとは思えません。
そんなフランスの会社で実際に働く私が思う、フランスの会社の意外なブラックでダークな労働環境の実態をまとめました。
実は長時間労働
フランスの労働者は、2種類に分けられます。
Cadre(管理職)
管理職、管理職候補の者を指し、基本的にBAC+5(修士号)以上の学歴の持ち主が結べる契約体系。
いわゆるエリート層はこの契約を結んでいる。
一週間の労働時間は決まっているものの、基本的に成果主義。
残業代がでない。
Non-Cadre(スタッフ職)
BAC+3(修士号なし)の者が結べる契約体系で、スタッフ職のようなもの。
テクニシャンなどと言われる。
決められた仕事を淡々とこなすイメージで、管理職になることはない。
一週間の労働時間は基本的に35時間で、それ以上働く場合は残業代が出るか、休暇を与えられる。
このようにフランスで働くと言っても、管理職として働くか、そうではないかによって、大きな違いがあります。
Non-Cadre、スタッフ職、いわゆる日本で言うヒラ社員の場合、実にゆるいです。
ただ決められたことをやっていればいいのです。
そもそも仕事量も多いわけではないので、残業をすることも滅多にありません。
しかし、フランスの管理職(Cadre層)の一部は、ものっすごく良く働き、場合によってはブラックな場合もあります。
つくづくフランスの管理職が可哀想に思えてきた。
・給料上げろとブーブー言われる
・部下は皆口が達者でまとめるのが大変
・実は超長時間労働
・部下が働かない場合はしわ寄せモロに食らう
・鬱になるまで働かされるパターンもうーん、日本もあれだけど、フランスもなかなかだと思うわ… https://t.co/q0dIFe4nwT
— マダムペロン@パリ (@madameperon2016) 2018年11月22日
「何かあった時に責任とれる立場の人(管理職とか)が成果を出すためにバリバリ働くのは当たり前、だからこそ給料も高いんでしょ」って考えらしいですね。。。(逆に、日本の会社で決裁権もあまりないヒラ社員が超絶残業しているのは不思議らしい……)
— あんずっこ@フランス夫と日本田舎暮らし (@allez_abricot) 2018年11月23日
管理職は成果主義であり、残業代がでないため、長時間労働をしている場合が多いです。
実際私の会社にも、朝早く7時頃出社し、夜9時まで働く人がいます。
また、会社では長時間働かなくても、パソコンを持ち帰り、自宅で残りの仕事を何とか終わらせる人も。
人によっては土日やバカンス中でさえ、仕事をしている人がいます。
深夜の時刻のメールが入っているのを見ると、この人は何時まで仕事しているんだろうか…と思います。
しかも部下が使えない場合は最悪。
スタッフ職は週35時間の労働さえすればいいのです。
「別に一生懸命何かを終わらせなくても、35時間働けばいいんでしょ?」という考えの人もいます。
このようなスタッフが、仕事を終わらせられなかったり、めんどくさいことに出くわすと…全部管理職に振ります。
ヒラ社員が週35時間、それだけキッカリしか働かないので、やっぱり誰かにシワ寄せが来るんだよ。
管理職は全部そのシワ寄せを食らっている感じ。
実はブラック、フランスの管理職たち。— マダムペロン@パリ (@madameperon2016) 2018年11月21日
管理職は部下のコントロールをする責任もあるので、余計仕事が増えてしまうのですね…
実はうつになる人が多い
フランスの会社では、人間関係で悩み、うつになってしまう人が多くいます。
その理由の一つとして、フランス人は実に口が達者であり、そのような部下を扱うのが本当に大変なのです…
学校でも自分の意見を押し通す、理論的に主張するということを散々学んできた人たちなので、ほんっとうに口が達者です。
自分の意見や希望は何が何でも押し通します。
こんな事を言われてしまうことも多々あります。
仕事以外にも何かを主張されると、かなりストレスになってしまいますよね。
しかも足の引っ張り合いも多いことが理由に挙げられます…
そして足の引っ張りあいもえげつないらしい・・・学校に通っている子どもをみていると、中学校から着実に理不尽さに耐えて戦っていく強さを身につける準備をしているとしか思えない。 https://t.co/Yu4ZunCyty
— マルヌ (@marne_france) 2018年11月21日
結構人間関係ドロドロの中、仕事をしている人が多いのです。
実際、フランスはうつ病患者がかなり多い国として知られています。
フランスは世界でいちばん精神安定剤や睡眠薬の需要が高いといわれている。職場でのストレス、工場の国外分散化による解雇、失業、離婚、家庭内暴力…とノイローゼ、うつ病に陥る要因が絶えない。
(参照URL:フランスでうつ病患者が急増している。)
ルンドベック・ジャパンはこのほど、「職場でのうつ病の影響調査」の結果を発表した。
同調査は2014年2月、ルンドベック社が世界16カ国(日本・英国・オーストラリア・南アフリカ・トルコ・米国・スペイン・カナダ・フランス・デンマーク・ドイツ・ブラジル・メキシコ・イタリア・韓国・中国)にて、オンラインパネルを使用して実施したもの。
各国、過去12カ月において従業員もしくは管理職であった16~64歳の成人・約1万6,000人(16カ国合計)を対象としている。
(参照URL:働く人々のうつ病率、日本は10%、韓国は7% ‐ 16カ国中1位は? )
なんとこのランキングで、フランスは16位中8位!
一方、日本は14位でした。
長時間労働に人間関係のもつれ…
かなりストレスフルな就業環境ですよね…
実は就業関連が理由の自殺が多い
私もフランスに来てびっくりしましたが、実は仕事のストレスが原因で自殺をしてしまう人も多いようです。
数年前、フランス大手通信会社Orangeでは多くの人が自殺で亡くなりました。
仏通信大手のオレンジ(Orange 、2013年7月1日に社名をフランステレコムから現社名に変更)で、2008~09年に従業員35人が相次いで自殺し、フランスの職場におけるストレスの深刻さが鮮明になった。
自殺した人たちの一部は職場で命を絶った。大半の人が遺書を残していて、管理者に対する「恐怖」や、技能を無視した配置転換による精神的打撃など、批判がつづられている。
ある男性従業員はコールセンターに回された後、橋から飛び降りた。会議で担当業務がなくなると知った男性技術者がその場で自殺を図った数日後、32歳の女性が職場の窓から飛び降りたケースもある。
(参照URL:フランス、職場のストレス深刻化 人員削減などで自殺者も)
このOrangeの集団自殺事件は、重にパワハラが原因だったようですね…
その他、下記のような事案もありました。
また最近増えているのが警察官の自殺だ。
1月21日、警視庁前のセーヌ川に30歳前後の女性警察官が入水自殺、その1週間後に郊外の犯罪取締班の50代の警官が自分の銃で自殺。
昨年だけで48人、05年比13人増で同年秋の郊外の暴動以来のストレスが爆発したと見られる。内務省付属の50人余りの精神科医が昨年だけで2万6千件のカウンセリングに応えているという。
(参照URL:最近のフランスの自殺事情。 )
中高年者の自殺で最近の話題といえば、イヴリーヌ県ギュヤンクール町にあるルノー技術センター(社員2000人)勤務の技術者・技師が昨年10月20日から2月16日までの4カ月間で3人自殺したこと。
06年度売上高が前年比4%減、純益も14%減という厳しい状況の立て直し戦略として昨年2月、ゴーン社長が「4年間で26種の新型を市場に出す」目標を発表。
その達成のために「各班の成果の責任を各自がとる」という個人主義生産性向上戦略が技術者・技師にプレッシャーとなっている、と組合員の一人が語っている(ル・パリジャン紙2/24付)。
自殺した技術者 D氏は夜遅くまで週末も働いていたという。2月26日に日本から帰国したゴーン社長も一連の自殺に衝撃を受けながらも28日、取締役会で「社員の挫折は許されるがルノーの失敗は許されない」と生産戦略の手綱を緩めずに社員のストレス応急対策を重視する姿勢を明らかに。
(参照URL:最近のフランスの自殺事情。 )
ヨーロッパの中でもフランスの自殺率は高いといわれています。
フランスの労働者、特に管理職の仕事量、ストレス、プレッシャーは半端ではないことがよくわかりますね…
フランスの管理職は、エリート層に上り詰めるまでにもガリガリ勉強し、バリバリ、うつになってしまいそうなぐらい働く…
一方スタッフ層(ヒラ社員)は給料が低いけど、きっちり週35時間しか働かず、のんびり…
ヒラ社員として働く私はのんびりですが、Cadre契約を結ぶ旦那は超忙しそうにしています。
フランスの労働者は極端に二極化してしまっているのです。
日本よりも労働環境が言いことは間違いないですが、フランスも皆が皆、超ホワイトな環境で働ける社会の実現に苦戦している…のが現実のようです。
ペロンに興味を持ってくださった優しい方はTwitterもぜひご覧ください♡
FOLLOW ME!