フランスの知識・歴史

カルロス・ゴーンの逮捕劇に見る、ルノー・日産の歴史的背景とは!




こんにちは、ペロンです。

 

先日びっくりするニュースがありましたね…

なんとルノーCEO、日産自動車会長のカルロス・ゴーンさんが逮捕されました。

東京地検特捜部は19日、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者(64)を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。報酬を約50億円過少申告した疑い。

(参照URL:ゴーン会長ら逮捕 約50億円の報酬過少申告の疑い

また、「日産自動車の資金を私用流用した」という報道もあります。

ルノー・日産でも長くCEOを任務し、三菱自動車でも会長を務めるなど、日仏の社会に大きく影響を与えてきた人です。

そんな人の逮捕のニュースは、大きなインパクトを与え、連日報道されています。

また、何が起こったのか様々な憶測が飛び交っていますね。

 

そもそも、ルノーと日産はどのような歴史を歩んできたのでしょうか?

また、カルロス・ゴーンはどのような影響力を与えてきたのでしょうか?

連日報道されているけど、よくわからない、ついていけない、全く何も知らない!という方もいるのではないでしょうか。

そんな方へ向けて、ルノー社の歴史を振り返りつつ、日産自動車に与えてきた影響を簡単にまとめてみました。

 

すごく簡単にまとめてありますので、悪しからず…




創業~第二次世界大戦まで

ルノー社の誕生

1899年、ルイ・ルノーという技術者が、小型自動車の量産に成功し、2人の兄弟と一緒にルノー兄弟社を創始しました。

 

繁栄、規模の拡大

1900年代以降、ルノーは小型車を中心に生産台数を増やしていきます。

生産台数の拡大、ディーラーネットワークの整備が進み、ルノーより先に自動車メーカーをしてビジネスを始めていたプジョーを追い抜きました。

これにより、フランス国内でトップの自動車メーカーに君臨します。

 

そして第一次大戦期、当時画期的だった戦車の開発、生産をし、国の勝利に大きく影響しました。

これをきっかけにルイ・ルノーはフランス政府から勲章を受章しています。

 

転落

第一次世界大戦で大きな成功を収めたルノー社の経営は順調でしたが、その後第二次世界大戦で大きく運命が変わります。

1940年、ドイツ・ナチス軍がフランスに侵攻、パリを占拠。

ヴィシー政権という傀儡政権が誕生し、フランスは完全にドイツ・ナチスの支配下になってしまいました。

 

その際、ルノー社は工場と従業員を守るために、ドイツ側に協力することにしたのです。

それが原因で、終戦後ルイ・ルノーは売国奴として投獄されてしまいます。

 

その後、ルイ・ルノーは獄中死してしまったとか。

優秀な技術者として成功を収めましたが、最期は決して幸せな幕引きではありませんでした。




国営化から民営化まで

国営化

第二次世界大戦終戦後、ルノー社は創始者を失い、生産設備もぼろぼろの状態でした。

そんな中、シャルル・ド・ゴールの指示により、ルノー社は「ルノー公団」として国営化されることになります。

ここから生産設備の修復、ディーラーネットワークの再整備、新車の開発が始まり、会社の再建がスタート。

 

民営化

ルノー社は国営化後、新車のヒットを生み出したり、アメリカ市場への進出の挫折などを経験しました。

民営化をするにあたり、様々な困難が生じましたが、1990年、ついにスウェーデンの自動車メーカー、ボルボと資本提携し株式会社に移行します。

フランス政府による株式の売却を経て、1996年、ようやくルノーが完全に民営会社としてスタートを切りました。

 

かなり長い間、国営企業だったルノーですが、民営化後もフランス政府が筆頭株主です。




アライアンス(同盟)体制の始まり

日産自動車を傘下へ

1996年、ようやく民営会社になったルノー社は、当時経営難に陥ってた日産自動車に目をつけます。

ルノー社が日産の株式の40%以上を保有、日産はルノーの株式の15%を保有するという形で資本提携することになります。

 

ルノー・日産アライアンス(同盟体制)がスタートすることになりました。

アライアンスというと平等な印象がありますが、株式の比率は全く平等ではありません。

日産の筆頭株主はルノーになり、日産は事実上ルノー社の子会社になりました。

 

日産の業績回復、ルノーは欧州市場大手の自動車メーカーに

ルノー・日産は部品共通化などを進め、協力体制を設立し、コストカットに着手しました。

この時、大きな役目を担ったのがカルロス・ゴーン。

非情なぐらいどんどん無駄を切り落としました。

その血も涙もないようなやり方に批判もありましたが、再建計画は順調に進みます。

1998年時点で2兆円規模であった日産の負債は、2003年には完全に返済を終えました。

「日産のために日本に来た」という言葉のように、日本人とも上手くビジネスを成功させたのです!

このことから、日本社会でも彼の名前が広く知られるようになりました。

 

一方ルノー社も民営化後、新車をヒットさせ、再度フランスのトップ自動車メーカーになります。

ルノーは日産以外にも、

・韓国のルノーサムスン
・ルーマニアのダチア
・ロシアのアフトヴァス

を傘下におさめ、グループの市場規模を拡大していきました。

 

フランス政府の圧力が日産へ忍び寄る

欧州大手の自動車メーカーとなったルノー社ですが、欧州市場の冷え込みにより、業績低迷に悩んでいました。

自動車業界は巨大であるがゆえに、自動車メーカーの業績不振は様々な関係会社に影響をもたらします。

特に、自動車メーカーの不振は雇用状況に大きく影響するのです。

 

市場の冷え込みで業績不振に陥ったルノー社は、ついにリストラに着手せざる終えない状況に。

欧州に於ける新車販売は1990年代半ば以来の最低水準に落ち込んでおり、自動車メーカーの各工場は稼働率を大幅に引き下げて操業しているものの、従業員数や設備の規模は好況期から変わっていないと言います。

以前に「フランス政府が雇用維持でルノーに日産車の生産を要請 !?」でお伝えしたとおり、フランス大手ルノーが販売不振を理由にコスト削減のため、本年1月15日、2016年末までにフランス国内従業員の14%に相当する7500人を削減するリストラ計画を発表。

これを受けて労使対立が鮮明化、同社従業員による大規模な過激デモが発生しました。

(参照URL:日産がルノーの再建に向けて次期マイクラの生産委託を発表

 

民営化されたとは言え、現在もルノー社の筆頭株主はフランス政府。

フランス政府はこの不況・雇用状況の改善のために、ルノー社にこのようなことを依頼しました。

ルノーの経営状況を重く見た仏アルノー・モントブール産業再生相がルノーのカルロス・ゴーンCEOに「日産がフランス工場を支援すべく、フランスの生産ラインに仕事をもたらすべきだ」と要請。

両社のCEOを兼務する立場ながら「日産にとってプラスにならない協業はしない」として、これまでもルノーからの様々な支援要請を断って来たカルロス・ゴーンCEOでしたが、大株主のフランス政府から圧力が入った以上、安易なリストラ策に走る訳にも行かず、赤字経営に苦しむルノー救済に向けて動くことに。

(参照URL:日産がルノーの再建に向けて次期マイクラの生産委託を発表

フランス政府の圧力もあり、日産はやむなく受け入れました。

結果、欧州型のマイクラはインドからフランスに生産拠点を変更され、現在量産されています。

 

過去、日産はルノーに助けてもらいました。

しかし、今は日産のほうがルノーよりもかなり市場規模が大きい会社になっています。

でも依然、ルノーの筆頭株主はフランス政府であり、日産の筆頭株主はルノーであるということには変わりません。

いくらルノーより大きい会社になったとは言え、フランス政府の圧力が日産の経営に影響する資本関係なのです。

フランスの不況問題に利用されてしまうことがあったとは…

 

ルノー・日産・三菱の3社アライアンス体制の確立

その後、2016年三菱自動車が日産の傘下に入ったことで、アライアンスの規模はますます拡大することになります。

今後もルノー、日産、三菱3社で協力体制が強固されていく…

と思った矢先に、カルロス・ゴーンの逮捕劇が起こりました。




Twitterでの反応

この逮捕劇を受けて、様々な憶測が飛び交っています。

Twitterでの反応を紹介させてください。

憶測・情報が飛び交っている状態で、今後がすごく気になります。

フランス政府、日本政府も絡んできそうなこの問題、多くの人が固唾を飲んで見守っているような気がします。

真相はまだわかりませんが、さて、今後どうなるのでしょうか…

(ミスター・ビーンとカルロス・ゴーン、似ていますよね…w)

 




ざっとすごく簡単に書いてみました。

ちなみに、カルロス・ゴーンさんはフランスでも超スーパーエリートであり、フランス国内でもこの逮捕劇の件は連日報道されています。

カルロス・ゴーンさんの経歴はこちらの記事にも書いてあります。

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本件、続報があれば追記したいと思います!

 

 

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